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I LOVE YOU TO THE MOON AND BACK

いろいろメモ。映画、読書、展覧会、パリの街角から。— だいたい週1〜2回更新目標。

LA LA LAND - ラ・ラ・ランド ★★★★★

映画

ラ・ラ・ランド、アカデミー賞最多の14ノミネートとのこと。
みんなが手放しで絶賛する映画って、個人的に全くヒットしないことが多いのですが、これは、、、

もう最高に良かった!

ネタバレだらけなので、まだ観てない方はぜひ映画鑑賞後にまたお越しください☆

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マーティン・スコセッシ「沈黙」★★★★☆ 

映画

遠藤周作の原作を読んだのは、確かもう20年近く前。
家には神棚があって、お盆には御墓参りをし、クリスマスにはケンタのチキンを食べる、ごく普通の家庭に育った私には、日本では少数派のキリスト教を扱った物語に、いまひとつ馴染めず、何かとにかく辛く苦しい話、という感想と、読み進めるのも辛く苦しかった記憶だけが残っていた。

 

偶然、予告編で本作の公開を知って、スコセッシが「沈黙」!とゾクゾクしながら劇場で観る日を楽しみにしていた。

 

鑑賞後の感想は、、

これが一言で出てこない。

とにかくすごく感動したのだけど、単純にあぁ良かった!というようなものでなく、これは少し考えないといけないなと思いながら家に帰った。
改めてゆっくり最初から思い返して、再検証してみる。

 

とりあえず、長い。
2時間半越え。ストーリーは、まっすぐ、ゆっくり進む。細部は複雑で幅広い。
17世紀、島原の乱後のキリシタン禁制の敷かれている日本に密航してきた、二人の宣教師、ロドリゴとガルペ。
そこで出会う隠れキリシタンたちは、貧しく粗野で、しかしながら驚くほどの純真さで神を信仰する。痛々しいほどに盲目に。彼らとの関係は、驚きと戸惑いから始まり、わずかな軽蔑を過ぎ、深い尊敬と人間愛へと変わってゆく。
キリシタンへの処罰は容赦ない。
見せしめとばかりに直視に堪えない酷い処刑をする。
しかしそれも、全く無慈悲で、悪の塊のようなものでないこともわかってくる。喜んで処刑しているわけではないのだと。彼らを取り締まる、井上様や通辞は、徹底してはいるけれど、冷血無比というのでもない。
ただ、当時日本ではキリスト教はダメなのだと。
高貴な大志を抱いてやってきた二人も、ここでは侵略者でしかないのだと。

この二つの相容れない思想の間で、村人たちの命を天秤にかけられ、自らの信仰をも揺るがさざるを得ないロドリゴとガルペ。

高波の打ち付ける海岸に、4日間磔の刑にされたのち殉教するモキチを見守る二人には、この死にどんな価値があるのかという虚しい問い、神に見放されたような寂しさ、裏切られたような悔しさ、それでもまだ信じることを選ぶがための葛藤が沸き起こる。神の「沈黙」が初めて重くのしかかる。

 

遠藤周作の長男とスコセッシ監督の対談の記事を読んだ。

映画「沈黙」 遠藤周作の長男とスコセッシ監督 公開直前対談で分かった27年の曲折 (1/4) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版

スコセッシ : 『文化的に異なる世界観、生活感の違い、国による信仰の違いを描きたかった。』

『私は古今東西を問わず、共通の価値があることがとても美しいと思いました。人間はどうコミュニケーションするか。何に価値を見いだすか。それをどのように分かち合うか。』

遠藤 :『善の中には悪が、悪の中には善が潜んでいる。善と悪は簡単に分けることができないものであって、その中でいかに格闘していくかが人生なのだと父は言っていた。』

『いまの日本は善きものと悪しきものに二分されていて、それが記号的に決められていることも多い。世界的にもそういう風潮にある中、映画を通して、世の中はそうは割り切れないことをみせてほしい。

スコセッシ : 『より閉鎖的でより国家主義になっているこの世の中に対して疑義を唱えるようなきっかけになれば嬉しい。』

 

時々、セリフもなくただ自然の中にロドリゴや村人の姿のあるシーンがある。
その圧倒的な自然の美しいこと!
まるで黒澤明を観ているよう。
そんな自然を神々しいと思う私は、日本人だからだろうか。それともどんな人間にも共通のものだろうか。決して抗えないもの。何も言わず、ただそこにあるだけで、畏怖させ、安堵させるもの。

 

自分が信仰を捨てれば、村人たちの命が救われる。。。
ロドリゴは結局、踏み絵を踏む。
しかし敗北としてではなく、さらに深い信仰に根ざした「愛の行動」として。
最後の最後の瞬間まで迷いがある。私たちには敗北ではないとわかっていても、彼にとってはそれは取り戻しのつかない背徳。

このとりわけ引き伸ばされた時間。このほんの数歩で変わる、あまりにも多くのこと。
その全てを観客は静かに見守ってきたから、一緒に涙する。安堵と落胆と賞賛の入り混じった思いで。このシーンは格別に美しい。

 

結局スコセッシは、人間の弱さも、神の容赦ない沈黙も批判しない。

ロドリゴが最後にたどり着いた答えは、宗教や信仰に対して、ひどく無知だった私にも大きなヒントを与えてくれた。フランス語字幕で観たので拙訳を。正式な日本語字幕はどんなかしら。

 

『たとえ今日まで神が沈黙を貫いたとしても、私のすること全て、私がしたこと全てが彼についてを語る。私は沈黙の中でこそ、彼の声を聞いた。』

 

エンターテイメント性は低いので、退屈したという意見もちらほらあった。
確かに、口に入れた途端溶ける綿菓子のようなものではなく、しっかり何度も噛まなければ消化できない映画。

良い芸術は、説明がなくともすぐに感動させられるものであるべき、と思っているので、星4つにしたけれど、それは私が未熟だからなのかも?

良い芸術は、受け取る側の教養や感性の高さによっても作られる。この作品も、きっと観る人によっては、星5つの価値があるんだと思う。

 

改めて遠藤周作の原作も読んでみようかな。

 

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またこのポスターの美しいこと。。!

パク・チャヌク監督「お嬢さん」 ★★☆☆☆

映画

今年最初の映画館、フランスで昨年評判のとっても良かった、パク・チャヌク監督「お嬢さん」(Park Chan-Wook - Mademoiselle)を観てきましたー!が… 本物そっくりの偽物ダイヤをつかまされた気分。。。😞

まず長すぎる。間延びして、美しい場面も埋もれてしまって退屈に。

2時間25分だけど、30分くらい無駄。厳選して、もっとメリハリついてたら星一つ増えてた。

虐待とか、孤独とか、複雑な家族の関係とか(あんまり言うとネタバレですね)、扱うテーマは重くデリケートなのに、ところどころはめ込むコメディータッチの演出がミスマッチで、肝心の大切なテーマまでがおままごとのように、映画全体が嘘のように感じさせられてしまう。
コメディーならコメディーでいいんだけど、そうではなくてやっぱりドラマティックにスリリングに話は展開していくのでシラけちゃう。

当然ながら、悲惨な状況の中で、笑いはオアシスになります。

ただそれを安っぽいドラマのようなもので済ますのではなく、もっと人が自然に共有できる笑い、何気ない素振りだったり、思わず目を合わせて笑ってしまうような不条理だったり、の方が品格も説得力も上。

「テーマがヘビーなだけに、いくらか軽いシーンも入れないと正視に耐えられなくなる」っていう危惧というかバランスへの配慮からなのか、それとも単純に大衆ウケ狙いなのか、真意はいかに。

舞台になるお屋敷も女優さんも美しくて、ほけーっと見とれちゃうシーンはたくさんあったけれど、話の中身が伴わないと、女性誌でバカンス特集やファッションページを眺めてうっとりする程度のものに。

本来だったら、もっと胸に痛く突き刺さるような出来事ばかりなんですよ。
しかも現実に今社会で起こっている問題と同じ類の、まさに今話し合うべきこと。
シナリオの大筋は、ショッキングで、破廉恥で、気になって、魅力的なんです
ところが見終わっても全く他人事というか、痛くもかゆくもない。
キレイな女優さんの裸と絡みのシーンも、もうなんというか、この手のシーンによくあることだけど、目の保養になる以外に意味あるのかしらと。

見た目は華やかで話題性もたっぷりだけど、私が観たいのはもっと心を震わせてくれる映画だなあ!

とどめはエンドロールで流れる音楽。
どうしてあんなポップにしちゃうかな。映画の流れと全然関係ないし、もうほんと最悪。興ざめもいいとこ。
観客をバカにすんじゃないと言いたい。
もう。

同監督のオールド・ボーイは観て面白かった記憶があるけど、今見たらどうかな。

息子の付き添いで行くアニメ以外の映画を観る時間、ついにゲット!と思って、貴重な自由時間のために、ハズレのないものをチョイスしたつもりだったんだけどなー。

次はいつ行けるかな。

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フランスの田舎のクリスマス

フランス

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今から100年以上も前に、主人のひいお爺さんによって建てられたフランスの田舎の山間のお家。ここで毎年クリスマスを家族で過ごす。

当時この地方で盛んだった、色とりどりのリボン等を作るアトリエだったこの家は、3メートル以上ある織り機のために天井の高い大きなアトリエ部分と、住み込みで働く工員さん達のための独立した部屋からなる、珍しい造り。

今ではアトリエ部分も二階に分けられ、住みやすく改装されて、たくさんの家族や友人が集まっては、それぞれ独立した生活ができる。その自由な空気のおかげもあってか、かえって人が集まる。

いくつもの偶然が重なって、ずっと親族に受け継がれてきたけれど、さてあと何世代続くか、子供だけでも12人集まったクリスマスにふと思う。

ここでは親世代が遊んでいた玩具で、子供達が遊んだり、昔のものが大切に保管されつつちゃんと今でも生き生きとしている。 中でも私が好きなのは、この絹糸で織られた
絵。きっと昔この地方で織られたものなんだろう。今度お義母さんに聞いてみよう。

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さてフランスのクリスマス、アペリティフからデザートまで何時間もかけての食マラソン。とっておきのご馳走を目の前に、はちきれそうなお腹でも完食してしまう。。
ところが今年は歳なのか、悪いものを食べたのか、クリスマス後に友達たちとの追い討ちのポストクリスマスランチのあいだに猛烈な腹痛が。。
でも大人なので、ぎりっぎりの状態でも取り乱さず、デザートの後に店を出、フラフラになりながらトラムに乗り、実家の最寄り駅でちゃんと降りて、人気のない所の街路樹の根元に吐きましたとさ。
そして小一時間寝たらすっかり元気になったので、改めて友人宅でシャンパンとフォアグラのアペロへと、エンドレスマラソンへ旅立っていったのでした。。

年明けから引き締めてくぞお!🔥

写真は、今年のテーブルセッティング(のズーム)。
庭の柊の葉を集めて、ゴールドスプレーでコーティングし、ネームプレートに。
見た目の悪い、枯れ葉の方が、乾燥していてスプレーがしやすかったです。
とっても素敵な雰囲気に仕上がり、好評でした💫

書体はこちらを参考にしました。

Quickpen - Webfont & Desktop font « MyFonts

"Enter your own text" というところに書きたい単語やフレーズを入力するとそれが表示されて便利です。

皆様どうぞ良いお年をお迎えください。

ジャック・ドゥミ 『ロシュフォールの恋人たち』— 夏の日の歌

映画

先週は二晩連続で徹夜(一晩目は仕事、二晩目は遊び)の後、土日に計26時間眠ったりと、へんてこな週末でした。早寝早起き、規則正しい生活は大事ですね〜。でもたまに無理したり羽根のばしたりするのも楽しい!たまにはね✨

 

そんな日曜日に聞いていたのがジャック・ドゥミの映画『ロシュフォールの恋人たち』のサウンドトラック。よく晴れた休日になんともよく合うアルバムです。

ミファソラーミーレー♪で有名な『双子姉妹の歌』も好きですが、私はこの『夏の日の歌』が好き。

夏の日の歌とはありますが、寒く震える時にこそ、身近なものを愛し、夏のように熱く心の燃える日々を過ごそう!という歌でもあります。

一度きりの人生を思いっきり謳歌しよう!って胸がキュンと熱くなる曲。

作曲のミッシェル・ルグラン、最高!


Les demoiselles de Rochefort La chanson d'un jour d'été

以下和訳、拙訳です。。

 

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